お金は人を自由にしたけど、人を不幸にした話

サステイナブル
Photo by Jeswin Thomas from Pexels

 

以前に、『お金が増えたからといって幸せにならない」という話をしましたが、

 

今回は、
歴史的に、お金が人を自由にしたけど、不幸にした話を説明したいと思います。

 

 

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はじまりは、お金がヒトを自由にした

 

 

「お金さえあれば…」

このコトバが「お金が人の人生の主導権を持っていること」を表しているように、
ヒトの生活に「お金」は”必需品”になってしまいました。

 

でも、歴史をみると、お金のおかげでヒトは自由になれたんですよ。

 

物々交換はマジで無理ゲー

 

物々交換の限界を理解するために、想像してほしい。あなたが、この丘陵地帯で随一の、身の締まった甘いリンゴの生る果樹園を持っていたとしよう。(中略)職人の店を見つけ、リンゴと交換で、必要な靴を作ってもらおうとした。
だが、靴職人はためらった。リンゴをいくつ請求すればいいだろう? 彼のもとには毎日何十人も客が訪れる。そのうち何人かはリンゴを袋に入れて持ってくる。小麦やヤギ、布を持ってくる人もいる。質はさまざまだ。王への請願や、腰痛の治療といった、専門技術を提供しようという人もいる。

ー『サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

物々交換の社会では、「お互い欲しいもの」を交換する必要があります。

 

なので、自分がリンゴを持っていて、

「ねぇねぇ、ちょっと靴ボロボロになっちゃったから、
リンゴあげるかわりに、靴作ってくれない?」

といったとします。

 

しかし、靴職人いわく、

「いや、無理だわ。最近リンゴの収穫の時期で、みんなリンゴ持ってくるんだわ。
正直もう食べきれないし、他の人とリンゴと別のなにかを「交換しよ」
って交渉しても『やだ』っていわれて、リンゴまじ使えないんよ。」

となるかもしれません。

 

スマホもなしに物々交換は

 

そうなると、リンゴしか持ってない自分は、「リンゴ」を欲しがっている人を探さないといけなくなります。

 

ですが、昔は「インターネット」もなければ、「スマホ」も「電話」すらありません。

 

仮に、街の掲示板や街灯に

「りんごと交換してくれる人募集!」

と張り紙をしたとしても、

 

電話があれば、

「もしもし、りんごと槍を交換して欲しいんですけど...」

と連絡することができますが、

 

必ず「場所は〇〇村を超えて、森を抜けた街の右から14番目の家まで!」

のように「来てもらう必要」があります。

 

 

その結果、「リンゴを欲しい人を探すためにかかる『時間』『体力』」がめちゃくちゃかかっちゃうわけです。

 

重たいリンゴを遠くの街まで運んで

「マジで重すぎで疲れるわ。
しかも早く交換せんと鮮度も落ちるし、クソだるいやん。」

となるわけです。

この時に、「と、お困りのあなた!」と言わんばかりに誕生したのが、
「貨幣」、すなわち「お金」になるわけですね。

 

革命「お金の誕生」

 

貨幣のおかげで人々はさまざまな品物やサービス(たとえばリンゴ、靴、離婚)の価値を素早く簡単に比較し、交換し、手軽に富を蓄えることができる。

ー『サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

「お金」が誕生したおかげで、

「リンゴ」と「お金」を交換する。
そして、「お金」と「靴」を交換できる。
さらに、「お金を貯める」ことができるようになった、と。

 

 

ようするに、欲しい時に欲しいものが手に入る。そして、「時間」も「体力」も節約できる一品。
人の生活の豊かさを手助けしてくれるもの、それが「お金」だったわけです。

 

お金は階級制度もぶっ壊す

 

お金が、時間も体力もとる物々交換の苦しみから解放したわけですが、
それだけでなく、「階級制度」も破壊して、人をもっと自由にします。

 

「生まれたときの運命」という苦痛

 

  • 封建制度のもとでは、個人がその生活を拡張できる範囲は、生まれる以前にすでに定められていた。しかし資本主義体制のもとでは、個人、とくに中産階級の人間はーーー多くの制限があったにもかかわらずーーーみずからの功績と活動によって、成功する機会をもっていた。

 

  • すなわち資本主義は個人を解放したということである。資本主義は人間を協同的組織の編成から解放し、自分自身の足で立って、みずからの運命を試みることを可能にした。人間は自己の運命の主人となり、危険も勝利もすべて自己のものとなった。個人の努力によって、成功することも経済的に独立することも可能になった。金が人間を平等にし、家柄や階級よりも強力なものとなった。

ー『自由からの逃走 (1951年) (現代社会科学叢書〈第1〉)

 

 

 

ようするにこういうことです。

今の時代は「仕事を選ぶこと」ができます。
自由に転職することができるし、違う国に住むことだってできます。

結婚する相手を選ぶこともできます。

 

 

しかし、「階級」が存在した時代では、
「生まれる前」から自分の仕事が決まっていて、住む場所も自分で選ぶことはできません。

結婚する相手も「同じ階級」でなければいけません。
ロミオとジュリエットのように、階級が違えば好きな人と一緒にいることもできません。

 

がんばれば、がんばった分だけ自由になれる

 

しかし、「お金」はその「階級の問題」を解決します。

 

「どんな家系」に生まれようとも、「どんな階級」に生まれようとも、
「お金」があれば対等に渡り合うことができます。

 

一生誰かのために働く、一生同じ仕事
というような生活ではなく、
お金は、やりたことをやれる生活に変えてくれたわけです。

 

時間や体力の節約だけでなく、平等さも可能にした「お金」。
なんてすばらしいんだ!お金最高!

と、すべてを解決してくれるはずの「お金」が手のひらを返すことになります。

 

お金の逆襲:人類の不幸のはじまり

 

一言でいえば、資本主義はたんに人間を伝統的な束縛から解放したばかりでなく、積極的な自由を大いに増加させ、能動的批判的な、責任をもった自我を成長させるのに貢献した。
しかしこれは、資本主義が発展する自由の過程に及ぼした一つの結果であり、それは同時に個人をますます孤独な孤立したものにし、かれに無意味と無力の感情をあたえたのである。

ー『自由からの逃走 (1951年) (現代社会科学叢書〈第1〉)

 

「人生の選択」の不安の誕生

 

この「個人はますます孤独な孤立したもの」というのを理解するために、少し想像してみましょう。

 

 

「階級が存在する」ということは、

「生まれた時から仕事が決まっていて、結婚する相手も決まっている」

わけです。

 

もし「定食屋」に生まれたとすれば「定食屋」を継いで、ずっとみんなに定食を提供する。
もし「家具屋」に生まれたとすれば「家具屋」を継いで、イスや机を作って売る。

 

「自分の階級」、「自分の役職」を果たすことは、”正解”であり、”人生をまっとうすること”だったわけです。

 

ようするに、「自分の人生」について「悩む必要がなかった」、と

 

 

一方で、今の時代の悩みは「正解がないこと」にあります。

 

たとえば、「自分にあった仕事」を模索したり、「自分のやりたいこと」を探します。

 

  • 「本当にこの仕事でいいのかなぁ」
  • 「オレってこのままでいいのかなぁ」

 

「生まれた時から仕事が決まっている」というのは、現代の人が悩む「本当にこれでいいの?」「本当にこれが正解なの?」という「人生の『選択』の不安」を抱かなくてすむわけです。

 

結婚相手も悩まなくていい

 

結婚相手に関しても、「同じ階級から選ぶ」か「親が決めてくる」わけです。

 

今の時代のように「婚活」なんてもってのほか。

 

「身長は180cm以上で、優しくって、お金持ちで、男らしくって、でも、わたしには弱さを見せてくれる人。うふふ。」
「オレの3歩うしろを歩くような女。えっへん。」

 

そんなことを想像できる世界ではありません。

 

物事は「想像をしよう」と「しまい」と”決まっている”んです。

 

 

ようするに、「自分がどう生きるか?」「どんな人と結婚すべきか?」なんて悩む必要がなく、
「オレってこのままでいいのかな」「わたしってこのままでいいのかな」
なんて不安がなかったわけです。

 

「孤独」という名の苦痛の誕生

 

それどころか、今までの友達は全員敵になります。

 

大学を想像してもらえればいいですが、
普段は仲良く飲みに行ったり、悩み事を相談するような仲のいい友達Aがいるとします。

 

「友達Aよ、お前は一生の友達だ!出会えてよかった!ありがとう!」

 

そうこうして、大学4年生になり、就活が始まります。
ある日、友達Aに、どこの企業を受けるかについて話をしていると、
なんと「同じ企業」を受けることが判明しました。

 

その事実を受けて、あなたは友達Aに向かってこう言います。

「お互いがんばろうな!」

 

そうは言ったものの、その企業は小さな会社なので、募集している部署では「1人」しか採用予定がありません。

 

この瞬間、今まで一緒に飲みに行っていた、なんでも話せる友達Aが「敵」になります。

 

「こいつに負けると、オレは仕事がない。絶対に負けられない。」

友達なのに、いつのまにか「敵対する関係」になりました。

 

「仕事をえる」、つまり、「お金をもらうため」に敵対する。

 

ようするに、「友達」のような「人との絆」、「人とのつながり」というのが、「お金」のせいでなくなりやすくなったわけです。

 

まとめ

 

今回は、歴史を通して、お金と人の関係性を説明しました。

 

お金が物々交換の苦痛と階級制度の苦痛から解放してくれたわけですが、

その反面、お金によって「選択の不安」と「孤独」の苦痛が生まれました。

 

次の記事では、どのように「選択の不安」と「孤独」の苦痛を取り除くかを説明していきます。

 

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